インターフェース2008年5月号付録のマイコン基板を使うことで、PCを使わずにアドエスのミニUSB端子から充電(給電)ができました。
Advanced/W-ZERO3[es](WS011SH)(長いので以降「アドエス」)は気に入っている端末ですが、
皆が不便に思っていることはミニUSB端子から充電できないことではないでしょうか。
正確に言えば、ミニUSB端子から充電(メーカー記述では給電)できるのですが、ドライバが入っているPCと繋いだときにしか
充電されないという 嫌がらせ 仕様なので、外付けバッテリーとか、家電やゲーム機のUSB端子を使って充電することができないのです。
さらに、電源コネクタが特殊な平型形状なので、USBから充電するときにはアドエス専用のUSB-充電コネクタが必要だし、普通のACアダプタを使うときにもアドエス専用の丸型コネクタ-充電コネクタ等の変換が必要です。
可能であれば充電アダプタを作ってみたく思っていましたが、アドエスとPCと繋いだだけでは充電できず、PCにドライバがインストールされていると充電できるということは、充電側がUSBホスト機能を持ち、必要な処理を行わないと充電できないということなので、自作するには少々敷居が高そうだと思っていました。
CQ出版社の月刊誌インターフェース2008年5月号にUSBホスト機能を持つマイコンを搭載した基板が付録に付いてきたので、充電器が作れないか挑戦してみました。
インターフェース誌付録のマイコン基板に以下の部品を搭載します。
協賛メーカの若松通商(秋葉原)で店舗販売・通販をやっています。もちろん他の店で買っても良いです。
水晶発信器がちと高いですね。5Vならもっと安いのですが。
マイコンはかなり高機能なもので、ディスプレイ接続コネクタとかもつけられますが、アドエスを充電するのに必要な部品は以下のとおりです。
部品 | 仕様 | 参考価格 |
---|---|---|
FRマイコン基板 | Interface 2008年5月号付録 | 1990円 |
USB Type Aレセプタクル | 84円 | |
USB Type Bレセプタクル | 84円(2個で168円) | |
水晶発振器 | 48MHz 3.3V DIPサイズ | 1050円 |
付録基板と部品。マイコン基板は組立て済みなので、USBコネクタ2個と水晶発振器をハンダ付けするだけです。
部品を搭載するとこうなります。
アドエスの充電をイネーブルするプログラムを作り、FRマイコンに書き込むつもりでいましたが・・・
FRマイコン基板に書き込まれているサンプルプログラムそのままで動いてしまいました。
電源供給用USB機器と基板、基板とアドエスをそれぞれUSBケーブルで接続します。
電源供給用USB機器はPC以外で問題ありません。というかPC以外のための製作です。
接続すると基板上の緑色のLEDが0.5秒間隔で点滅します。
電源供給に使っているのはアーベルのGETPOWER USBバッテリー&アダプタです。
無事アドエスの充電ができています
付録マイコン基板のマイコンに書き込まれているプログラムは、USBマウスの動きをシリアルポートに出力するというものです。(シリアルポートの先にはシリアル-USB変換が繋がっている)
インターフェース2008年6月号を読んだところ、USBホスト処理のすべてをプログラムで組んでいるかと思っていたら、ミドルウェア(ライブラリ)を使っていました。自作プログラムでアドエスのUSB充電機能を有効にするには多少研究が必要と考えられます。
アドエスのUSB給電を有効にするには、「ActiveSyncかモデムドライバがインストールされているPCとの接続が必要」ではなく、「ActiveSyncやモデムドライバ、その他のUSB充電(給電)をイネーブルする処理を行うホストとの接続が必要」のようです。
ちなみに、今回の付録基板のFRマイコンは以下のようなものです。
CPUコア | 富士通32bit RISCマイコンFR60 |
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動作クロック | 40MHz |
プログラムROM | 512Kバイト(フラッシュ) |
フォントROM | 512Kバイト(フラッシュ) |
RAM | 16Kバイト |
特徴的な機能 | USBホストコントローラ, USBターゲットコントローラ, オンスクリーンディスプレイコントローラ |
これをアドエスのUSB充電にしか使わないのは、スポーツカーを買って10km/hでしか走らせないようなものですね。せめて、省電力化ぐらいさせてみようかな。
それとは別に、小型マイコン+USBホスト機能ICでアドエス充電回路作ってみようかと考え中。